花祭

HANAMATSURI

「東栄フェスティバル」レポート

2022年11月3日、愛知県北設楽郡東栄町の「東栄ドーム」にて、3年ぶりとなる「東栄フェスティバル」が開催されました。愛知や静岡など、近隣地域の人でにぎわう観光まつりとして昭和60年から続くこのイベント。
東栄町の11カ所の地区(布川地区は休止中)に伝わる、重要無形民俗文化財指定のお祭り、「花祭」の実演や、地域の子どもたちによる太鼓パフォーマンス、数々の地元物産でにぎわった、イベント当日の模様をレポートします!

公式【生中継】
「花祭~東栄フェスティバル~」神へ捧げる 
神と舞う | hana-matsuri

花祭とは

「花祭」とは、愛知県北設楽郡の奥三河と呼ばれる地域を中心に伝わる、11月から1月にかけておこなわれる民俗芸能の総称です。1976年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。

このお祭りの特徴は、複数の地区で夜を徹して「テーホヘ テホヘ」の掛け声とともに約40数種にもおよぶ舞が奉納されること。神様を招き、酒食と舞を献じて願をかけることが主たる目的とされており、鬼や獅子といった異形の存在や、色とりどりの衣装に身を包んだ大人や稚児の舞子が次々と登場し、時に厳かに時に華やかに儀式や舞を披露します。

長野県を源流とする清流・天竜川流域の東栄町をはじめとした奥三河3町村の15地区で受け継がれていますが、同じお祭りといえど集落ごとに特色があり、そんな地域差を楽しむのもまた花祭の醍醐味です。東栄町では11の地区で花祭が開催されています(布川地区は休止中)。

花祭の紹介

花祭では一昼夜をかけて、「滝ばらい」「御神楽」「地固めの舞」「花の舞」など、さまざまな神事が古いしきたりにのっとって順番におこなわれます。

花祭の中でも特に盛り上がるのは「鬼の舞」。巨大なマサカリを手に勇壮に舞う姿は圧巻です。

そして朝方、神事の終盤ともなると、舞子が釜の中の湯を振りかけまわる「湯ばやし」がおこなわれ、花祭の盛り上がりは最高潮に達します。

花祭では、地域の人ではない見物人たちも「せいと」と呼ばれ、掛け声をかけたり舞子と一緒に体を動かしたりと、お祭りを盛り上げる重要な役目を担っています。地域の輪の中に飛び込み一体感を持って楽しめる、そんな魅力が花祭にはあります。

歴史/背景

花祭は、鎌倉時代末期から室町時代にかけて、熊野の山伏や、加賀白山の聖(ひじり)によってこの地に伝えられたといわれます。彼らが修業の理想郷として求めた深山幽谷の地が奥三河であったことから、奥三河に暮らす人々に影響をもたらしたと考えられています。

一年で最も寒さの厳しい時期におこなわれる花祭は、真冬に地中に沈んだ精霊たちを呼び覚まし復活させる「疑死再生」という思想から生まれ、やがて人の魂の復活を願う「生まれ清まり」という概念が根本思想です。花祭の「花」とは、浄土に咲く大法蓮華の花を手に再生した新たな命のことだともいわれています。

花祭の舞いの基本は、大地を踏みしめる「へんべ」と呼ばれる所作で、これは修験道に取り入れられている陰陽道の呪法のひとつ、大地の精霊を呼び起こす法力があるとされています。

厳しい冬の寒さの中、地中に沈んだ精霊たちを花祭によって呼び覚ます。この「再生」への意志が深い山の中で暮らす奥三河の人々の祈りとなり、生きる活力へとつながったのでしょう。八百万の神を迎えて所願成就、厄難除け、生まれ清まりを祈る儀式、それが花祭として人々に受け継がれているのです。

感染症対策の取り組み

東栄フェスティバル 2022 は、新型コロナウイルス感染症の感染防止策を講じて開催いたします。体調に不安のある方、発熱等の症状がある方、またご家族等に症状のある方のご来場は、ご遠慮願います。

<感染防止対策及び観客の皆様へのお願い>
・不織布マスクを着用。
・使い捨てリストバンドを活用した来場者への健康チェック・管理。
・こまめな手洗い。もしくは手指消毒を行う。
・十分な間隔を確保する。
・食事は決められた場所で行う。
※好天時のみ野球場内に飲食可能なエリアを設ける予定です。
・会場内での酒類の販売、提供、持込、飲酒は禁止。
・大声での歌声や会話自粛。

当日、「花祭実演」の様子をライブ配信いたします。You Tubeチャンネルより、各地区による実演だけでなく、舞の解説等も織り交ぜ、ご紹介予定です。

継承活動の取り組み

愛知県北設楽郡東栄町に伝わる「花祭」は、国の重要無形民俗文化財にも指定される伝統のお祭り。しかし近年は少子高齢化による担い手不足に輪をかけ、コロナ禍によって祭りが2年間休止となったことで、継承への課題が山積みとなっています。
今回は、地域の中で観光まちづくり等の観点から花祭の継承にも取り組んでいる、東栄町観光まちづくり協会・伊藤拓真さんと、東栄町役場・山下康晴さんに、「東栄フェスティバル」にかける思いについてお話を伺いました。

開催概要

東栄フェスティバル2022 開催概要

開催日時 令和4年11月3日(木)10:00~15:40
会場 東栄ドーム
プログラム
10:00〜
とうえい物産展開始
10:20〜
三遠南信湯立て神楽
トークセッション
11:20〜
和太鼓発表(東栄小学校)
12:05〜
開会式
12:40〜
花祭・御園花祭保存会
13:45〜
花祭・下粟代花祭保存会
14:50〜
和太鼓演奏・志多ら
※新型コロナウイルス感染症の状況等により内容等が変更となる場合があります。

アクセス

【お車でお越しの場合】

豊川ICから約1時間10分
名古屋ICから約1時間40分
浜松いなさ北ICから約40分

【公共交通機関でお越しの場合】

JR飯田線「東栄駅」下車→町営バス「本郷」下車 徒歩10分